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SPECIALIZATION

オートファジー✕便秘

Deabetes and Autophagy

オートファジーと便秘

便秘とは?

便秘は非常にありふれた疾患ですが、便秘がある方が寿命が短い可能性が指摘されています。

便秘は「本来体外に排出すべき糞便が大腸内に滞ることによる兎糞状便・硬便・排便回数の減少や、排便を快適に排泄できないことによる過度の努責、残便感、直腸肛門の閉塞感、排便困難感を認める状態」と定義されています。

1.「便秘症」の診断基準
以下の6項目のうち、2項目以上を満たす

  • 排便中核症状
  • C1. 排便の4分の1超の頻度で、兎糞状便または硬便(BSFSでタイプ1か2)である。
  • C2. 自発的な排便回数が、週に3回未満である。
  • 排便周辺症状
  • P1.(努責):排便の4分の1超の頻度で、強くいきむ必要がある。
  • P2.(残便感):排便の4分の1超の頻度で、残便感を感じる。
  • P3.(直腸肛門の閉塞感・困難感):排便の4分の1超の頻度で、直腸肛門の閉塞感や排便困難感がある。
  • P4.(用手的介護):排便の4分の1超の頻度で、用手的な排便介助が必要である(摘便・会陰部圧迫など)。

2.「慢性」の診断基準
6ヵ月以上前から症状があり、最近3ヵ月間は上記の基準を満たしていること。

便通異常症診療ガイドライン 2023
*大切なことは便秘とは、便の頻度のみならず、便の性状、排便感覚、排便時の方法を含むことです。

オートファジーがもたらす便秘への効果

オートファジーは腸管細菌叢、腸管の炎症、腸管神経叢を調整する可能性が報告されています。便秘は、腸管細菌叢、炎症、腸管神経系(ENS)の相互作用によって引き起こされる複雑な疾患です。腸内細菌叢は腸の運動性を調節しますが、便秘ではディスバイオシス(細菌叢の乱れ)により、腸運動が低下します。慢性炎症は腸粘膜のバリア機能を破壊し、炎症性サイトカインが腸管神経系に影響を与え、腸運動をさらに低下させます。さらに、腸管神経系の異常は腸の収縮・弛緩のリズムを乱し、ストレスや神経伝達物質の不均衡が便秘を悪化させます。これらの要因は相互に影響し合い、便秘の発症と持続に寄与します。

今後の可能性

オートファジーの調節は、便秘解消の新たな治療戦略を生み出す可能性を秘めており、今後の研究によって腸管健康の改善に大きく貢献することが期待されています。このメカニズムでは、腸内の損傷した細胞やタンパク質の分解を促進し、老廃物の蓄積を防ぐことで腸の環境を健全に保つ働きが注目されています。また、慢性的な炎症を抑え、腸管運動を活性化させる効果も期待されています。さらに、オートファジーは腸内フローラのバランスを整える役割も担い、腸全体の機能を最適化することで、便秘解消に寄与する可能性が示唆されています。

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私たちについて

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高橋利匡/Toshimasa Takahashi
M.D., Ph.D
トロント大学医学部招聘教授
医療法人社団 たかはしクリニック理事
大阪医科大医学部卒業後、総合内科医として従事。その後、糖尿病、老年病、消化器病など専門的な分野において日本、アメリカ、カナダで医学博士として研究に従事。2024年11月よりトロント大学医学部招聘教授として勤務。

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